高機能なCMSとして知られるWordPress。通常は、レンタルサーバーの契約や独自ドメインの取得にコストがかかりますが、実は完全無料でも使えることをご存知ですか?
本記事では、手軽にWebサイト制作、運営を始めたいとお考えの方のために、WordPressを使ったWebサイトを完全無料で制作する方法、そのメリット・デメリットを解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
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WordPressは「.com」と「.org」の2種類がある
WordPressには、「WordPress.com」と「WordPress.org」の2種類があります。
WordPress.comは、Web版のWordPressのことで、はてなブログやAmebaブログなどと同じブログサービスの一種です。サーバーの契約や独自ドメインの取得は不要で、サービスに登録後すぐにWebサイトを作ることができます。しかし、カスタマイズの自由度はなく、プランによってはプラグインやアクセス解析ツールが使えないなどの制限があります。WordPress.comには無料版と有料版がありますが、前者の機能はとても少ないので、利用する際は有料版を推奨します。
一方のWordPress.org(以降、WordPress)とは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)としてのソフトウェアで、一般的にWordPressという場合はこちらを指します。レンタルサーバーから直接インストールでき、基本的には無料で利用可能です。
本記事では、WordPressを使ったWebサイトを完全無料で制作する方法をご紹介します。
そもそもWordPressとは
まずはWordPressとは何か、基本的な知識を押さえておきましょう。
WordPressは、Web制作の知識やノウハウがなくても、誰でも簡単にサイトを制作・運用・管理できるCMSの一種です。CMSにおける世界シェアはNo.1で、世界中のサイトの約4分の1はWordPressを利用しているともいわれるほど人気があります。
その人気の要因は、「カスタマイズ性の高さ」と「わかりやすい操作性」です。WordPressは、他のCMSと比べて、Webサイトのテンプレートとなる「テーマ」が豊富にあるだけでなく、様々な拡張機能を付与できる「プラグイン」の種類も多いので、デザイン性が高く高度な機能を実装した質の高いWebサイトを作ることができます。また、通常であればコーディング(プログラミング)が必要な「画像・動画の挿入」「文字の装飾」「お問い合わせページの追加」といった作業も、ドラッグ&ドロップやボタン一つで追加できるなど、その操作性の高さも魅力です。
もちろん、オリジナルのデザインやコーディングによって、より洗練された、より細かな機能を実装することも可能です。
WordPressサイトを「完全無料」で始めるための6ステップ
先述の通り、WordPressを利用したWebサイトの制作においては、レンタルサーバーの契約や独自ドメインの取得などにコストがかかることが一般的です。
しかし、無料のレンタルサーバーと無料の独自ドメインを利用すれば、イニシャルコストやランニングコストをかけずに完全無料でWebサイトを制作することも可能です。
「とりあえずWordPressを使ってみたい」「完全無料でどんなサイトが作れるのか知りたい」という方は、手順を押さえておきましょう
1. WordPressを使用できる無料のレンタルサーバーを探し契約する
「ロリポップ!」や「さくらインターネット」、「エックスサーバー」などに代表される有料のレンタルサーバーではほぼ確実にWordPressを使用できますが、無料のレンタルサーバーでは使用できない場合が多いです。そのため、無料のレンタルサーバーを探す際には、WordPressをインストールして使用できるか、またそのプランが用意されているかを確認しましょう。
2. 無料で独自ドメインを取得する
Webサイトの住所となる独自ドメインを取得しましょう。独自ドメインは「お名前.com」や「ムームードメイン」といった有料のサービスから取得することが一般的ですが、レンタルサーバーと同様に無料で取得することも可能です。
「Dot TK」や「freenom」、「No-IP」といったサービスでは、「.tk」「.cf」「.ga」「.no-ip.biz」といった個性的なドメインを無料で取得できます。ただし、一定期間アクセスがない場合には自動的にドメインが削除されたり、更新期間が短かったりと利用条件が厳しい場合があるので、しっかりと利用規約を読んでから取得しましょう。
3.ネームサーバーを変更する(必要な場合)
手順2で取得した独自ドメインは、そのままでは使うことができません。ドメインは、「ネームサーバー(DNSサーバー)」と呼ばれる、ドメインとIPアドレスを紐づけて変換するサーバーで管理されているため、取得したばかりの独自ドメインのネームサーバーはドメイン会社のままだからです。
同じサービスを利用してレンタルサーバーを契約し、独自ドメインを取得した場合はネームサーバーを変更する必要はありませんが、それぞれ異なるサービスを利用した場合は変更する作業が発生しますので、注意しましょう。
4. 独自ドメインをレンタルサーバーに設定する
レンタルサーバーの管理パネルを開き、ドメインの設定画面から独自ドメインを追加します。この時、必ずSSL化(SSL対応)するようにしましょう。SSL化とは、データの送受信を暗号化してWebサイトのセキュリティを向上させることです。URLが「http://」から「https://」になり、鍵のマークが付くので、信頼性のあるWebサイトということを証明できます。
ただし、レンタルサーバーによっては有料オプションだったり、そもそもSSL化の機能がなかったりする場合があるので、よく確認することが必要です。
5. レンタルサーバーにWordPressをインストールする
手順1で契約したレンタルサーバーの管理パネル(コントロールパネル)から、WordPressに関連するメニューを探し、新規追加(新規インストール)します。レンタルサーバーによって管理パネルのナビゲーションが異なるので、不明な場合は契約しているレンタルサーバーのFAQをご確認ください。
公式サイトからWordPressをダウンロードして、レンタルサーバーにインストールするという方法もありますが、手間がかかるだけでなく専門的な知識も必要になるので、レンタルサーバー側で用意されているインストール機能を活用しましょう。
6. 無料テーマを使用する
WordPressのインストールが完了したら、無料のテーマを選びましょう。先述の通り、テーマとはWebサイトのテンプレートのことで、テーマを選択すると様々な機能が使えるようになります。Webサイトのコンセプトやターゲットを想定して、適切なテーマを使用しましょう。
WordPressを使ったWebサイトを完全無料で制作する際のデメリット・注意点
ここまで、WordPressを使ったWebサイトを完全無料で制作する手順を解説しましたが、実は完全無料で使用する際には多くのデメリットがあります。Webサイトにおいて致命的なデメリットもありますので、必ず覚えておきましょう。
デメリット1:広告が表示される
無料のレンタルサーバーでWordPressを利用する場合、画面の上部もしくは下部に自動広告が表示されます。広告が表示されない無料のレンタルサーバーもありますが、その場合はWordPressを利用できない場合がほとんどです。全く関係のない広告が表示されることはユーザーの離脱につながるだけでなく、ブランディングにも影響を及ぼします。
デメリット2:安定性に不安がある
レンタルサーバーの多くは、1つのサーバーを複数のユーザーで共有する仕組みになっています。有料のレンタルサーバーの場合は、共有する人数を制限してデータベースの容量を確保できますが、利益が出ない無料のレンタルサーバーの場合は、1つのサーバーに可能な限り多くのユーザーを詰め込んで運用するので、1ユーザー当たりの容量が少ないことがほとんどです。また、サーバーのスペックが低く、表示速度が遅くなる、Webサイトにアクセスできなくなるなどの事象も起こりうるので、有料のレンタルサーバーに比べて安定性に乏しいというデメリットがあります。
デメリット3:ドメインの信頼性が高くない
無料の独自ドメインは、「.tk」「.cf」などの個性的なドメインが取得できる一方、「.com」や「.jp」などの知名度の高いドメインと異なるため、ユーザーから「怪しいサイトなのかな?」と警戒される恐れがあります。見慣れないドメインは信頼性が高くないと認識されるため、Webサイトにアクセスされない可能性がある点に注意しましょう。
デメリット4:サポートが受けられない
有料のレンタルサーバーはサポートが手厚く、チャットボットや電話窓口など、運営に問い合わせる手段が多々ありますが、無料のレンタルサーバーは運営からのサポートがない場合がほとんどです。そのため、何か問題が発生した際には自分で調べてトラブルシューティングを行う必要があります。
WordPressについてよくある質問
ここでは、WordPressを使ったWebサイトの制作において、よく質問される内容の一部をご紹介します。その他の質問については、「ご相談」全一覧よりご確認ください。
Q1 WordPressはどんなサイトに向いていますか?
WordPressは簡単にページを追加できるので、ブログサイトやメディアサイト、コーポレートサイトといった頻繁に情報やコンテンツを更新するサイトに向いています。専用のプラグインを導入したり、セキュリティを強化したりすればECサイトや会員制サイトなどを作成することも可能です。
Q2 無料テーマにはどんなものがありますか?
WordPressで使用できる無料テーマには、次のようなものがあります。それぞれの特徴を簡単に記載していますので、気になったものがあれば、それぞれの公式サイトから具体的な内容やサンプルを確認してみてください。
・Cocoon:シンプルながら、表示速度の高速化やレスポンシブデザインへの対応、SEO対策などが施されている高機能な無料テーマです。
・Arkhe:カスタマイズ性に優れた無料テーマです。htmlやcssなどの基本的なコードが書けるWeb制作者に向いています。
・Lightning:ビジネスサイト向きの無料テーマで、デザイン性の高いWebサイトを制作できます。
Q3 無料で使えるレンタルサーバーを教えてください
無料レンタルサーバーは多くありますが、WordPressを利用できる代表的なものは下記のとおりです。容量や広告表示の有無、サポート体制などはサービスによって異なるので、詳しくは各種公式サイトをご確認ください。
・Xfree:高速システムを搭載した「WordPress機能」という専用プランを利用できます。独自ドメインを5つまで取得でき、データベースの容量は100MB(制限値)です。
・StarServerFree:「フリーPHP+MySQL」という無料プランが用意されています。広告表示はスマートフォンのみなので、PCのブラウザをメインにしたWebサイトに向いています。
・XREA Free:「XREA Free」のプランでWordPressを利用可能です。データベースの容量は1GBで、チャットでのサポートもついています。
まとめ
今回は、完全無料でWordPressを使ったWebサイトを制作する手順と注意点について解説しました。
コストをかけずにWebサイトを制作・運用することは可能ですが、無料のレンタルサーバーや無料の独自ドメインには多くのデメリットやリスクがあります。完全無料で作ったWebサイトは、メディアサイトやコーポレートサイトには向いていないので、個人利用の範囲で使う程度にとどめておくことを推奨します。
一方、有料のレンタルサーバーや有料の独自ドメインは、年間数千円~数万円のコストはかかるものの、強いセキュリティやドメインの信頼性など多くのメリットがあります。ブランディングを意識してしっかりとしたWebサイトを制作する際には、少額でも有料のサービスを利用するようにしましょう。
WordPressを使ったWebサイト制作にお悩みの方は、「相談してみる」フォームより、お気軽にお問い合わせください。