最終更新日:2022.11.22
運用中のサイトがWordPressサイトであり、そのサイトにSEO対策を実施するということですね。
このご相談のポイントは、ウェブサイトの運用を担当している制作会社とSEOの改善策を立てる会社が「別会社」というところですね。クライアント様(発注者)は、2社の間に入って、連携をとりもつということで、未知の部分が多いかもしれません。
弊社は、他社のSEO改善策を実施する「制作会社」としての立場も、制作会社様にSEOの改善策の実施をお願いする「SEO会社」としての立場も、両方経験があります。
その経験から、いくつかポイントをご紹介させていただければと思います。
プロジェクトの実施フローについて
まずは、こういったプロジェクトが一般的にどのようなフローで実施されるかご紹介します。
①SEO会社が、対象サイトの運営を担っている制作会社に対して、ヒアリングシートなどを使って対象サイトの事前調査を行う
※対象サイトのサイト構造や各種設定、実装想定の機能の対応可否を事前に確認するため。
②または①のプロセスはなく、SEO会社が対象サイトを細部まで閲覧し、改善点を抽出する
③SEO会社が調査結果を「SEO改善指示書」のようなドキュメントにまとめる
④「SEO改善指示書」がクライアント様経由で制作会社にわたされ、制作会社が改修フェーズに入っていく
⑤改修完了後、SEO会社が指示どおり改修がなされたかをチェックし、修正漏れや認識の齟齬があれば再修正、問題なければプロジェクトはいったん終了となる
「SEO」という観点からの改修ですので、ウェブサイトの見た目(表示面)などは大きく変わらなかったり、極めて専門的な内容になるため、間に入っているクライアント様からすると、本質的な部分を理解したうえで進行するのが難しいプロジェクトになるかもしれません(どうしても“おまかせ”になってしまう)。
どんなSEO対策が盛りこまれるのか?
これはもちろん、どのような「オーダー」なのかにもよりますが、一般的にSEOの視点から考えますと、以下のような項目になると思います。
- ベーシックなSEO対策がしっかり施されているか。タイトルやMETA関連、見出し設定、ALTの設定等、非常に基本的な設定項目の見直し
- 重複コンテンツ排除(カノニカル設定)、パンくずリストの設定や内部リンク構造の見直し。場合によっては、ページごとのカテゴリの整理(重点カテゴリを軸としたカテゴリの親子関係の整理等)
- 重要キーワードを意識したうえでの「テキスト追加」など、コンテンツの見直し
- No index処理やsitemap.xml、robot.txt等、クローラー対策
- 外部サイトからのリンクジュース等、被リンク施策
SEO会社は場当たり的なサイトチェックを行うことはなく、サービスを平準化するために自社開発の「SEOチェックシート」などを所有していますから、その項目にしたがって対象サイトを隈なく調査し、改修を行うことでSEO効果の高いサイトに作り変えるための「改善点」をまとめるはずです。
制作会社から見て気になるポイント
さて、上記に基づいて、今度は「制作会社」の立場からみていきますと、このプロジェクトの場合、制作会社は基本的に「受け」の立場ですから、特に大きな問題をかかえることはありません。
あるとすれば、事前にヒアリングがなされていたといっても、SEO会社はWordPressにログインし管理画面に入って、サイト構造や機能実装の詳細まで確認したわけではありませんから、実現可能性までは細かく考慮できず(といいますか、そこを考慮するのは範疇外)、結果として非常に工数のかかる「改善策」を提案してきた、などです。
事例は複数ありますが、参考までにひとつだけ例をあげますと、
・カテゴリの再編成にともなう下層ページの(ディレクトリ)移動
です。
通常、カテゴリの変更も、ブログタイプのCMSであるWordPressならとくに問題なく行えるのですが、構造によってはURL変更にまでおよぶ大きな改修になりますし、影響範囲が大きい場合もあります。
(対象ページ群のカテゴリ変更にともない、他ページからの内部リンク構造を手動で変更しないといけないなどのケース)
SEOの観点からすると有効な改修であったとしても、非常に工数がかかるということです。
ただし、プロジェクトの目的を考えますと、工数がかかること自体は問題ではありません。現状のサイトをSEOに最適化したウェブサイトに変えるのが目的であり、そのための改修です。
効果が見込めるのでしたら実施すべきです。
クライアント様(発注者)から見た問題点
さて、上記の背景を理解した上で、今度はクライアント様の立場にたって問題を考えてみましよう。
まずは、「費用・お見積り」についてです。
2社から、お見積りは、どのタイミングで出てくるのか?
SEO会社のお見積りについては、当然ながら施策の実施前に提出され、金額も確定しているはすです。
SEO会社のサービスフローに則って、提案 ⇒ お見積り ⇒ 契約 ⇒ 施策実施の流れでしょう。
では、制作会社側の「お見積り」は、どのタイミングで提出されるのか?
これは、SEO会社が「SEO改善指示書(※)」を提出した後になります。
制作会社は「SEO改善指示書」に基づいて工数を算出し、それぞれ改修項目ごとに「お見積り」いたします。
改修項目ごとにお見積りするのは、制作会社としては非常に難しい場合(Aが変わればBも変わるという内部的な機能連携などもあり、単独では見積もりしづらい)もあるのですが、クライアント様が「取捨選択」できるようにそのようにいたします。
(「SEO改善指示書」は、項目ごと番号がふられていて、個別に内容を検討できる形式になっていたりします)
ここはひとつのポイントですから、クライアント様におかれましては、覚えておくとよいかもしれません。
制作会社に改善書をわたす際に、以下を伝えるとよいでしょう。
●「改修項目」ごとにお見積りしてください。※制作会社が難色を示したとしても強引に。
●費用を見た上で、実施項目を決定します。
クライアント様は、最終的に制作会社から提出された「お見積書」をにらみながら実施項目を決定することになると思います(予算が潤沢にある場合は別ですが)。
そして、ここが一番、頭を悩まされるポイントになると思われます。
ここはちょっと、様々な要素がからんできてシンプルにお伝えするのが難しいのですが、「制作会社」と「SEO会社」の両方の視点を持つ弊社の経験から、問題点をきっちり言語化してみます。
●SEO効果がわからないから、施策の優先度を判断できず、費用をかけても実施すべきか見送るべきか、なかなか判断できない
に、なるかと思われます。
SEO会社からも制作会社からも、いろいろと説明を受けることになると思いますが、クライアント様のモヤモヤは、すべてここに帰するのではないかと思われます。
SEO会社の立場からすると、施策の優先度については明確に回答できますが、たとえば、「この施策を見送ることでどのくらい上位達成か難しくなりますか?」といった質問などに明確に答えることは難しいのです。
また、「工期」も問題になる場合があります。改善点が、20〜30項目あげられたとして、全部実施するとなると、3〜4カ月かかる場合もあるでしょうし、その間もサイトの通常更新は続いているわけで、そちらの動きも考慮するとなると、改修項目の実施順の再調整やプロジェクトのフェーズ切りなど、調整がとても骨の折れるプロジェクトになっていきます。
飛躍的な解決策はありませんので、2社と腰をすえて協議するしかありません。
そして最終的に、SEOとして効果があり、そこまで時間がかからず実施できるプロジェクトとして着地させる必要があるでしょう。
少しネガティブなことが多めとなりましたが、それでも、SEO効果を求めての改修は意味がありますのでおすすめします。
例えが少々突飛になりますが、たとえば「自然の田畑」であれば、放置していても、天候や気温、生き物たちの活動などによって、なにかしら変化が起きるはずです。
それに比べて「デジタル」で構築されたウェブサイトの場合、プログラムの処理は常に一定で、劣化することがない反面、外的な要因を受けて勝手に変化することもありません。
なにがいいたいかといいますと、SEO的に不利な構造で動いているウェブサイトは、手を加えない限り、半永久的に不利のままというわけです(ずっとです)。
検索からの集客、サービス認知拡大等、ウェブサイトにより強いSEO効果をお求めの場合は、どこかで重い腰を上げて、この難儀なプロジェクトに真向かわれることをおすすめします。
弊社は、SEOもWordPressサイトの改修もどちらも対応可能です。
ですが、だからといって(一社で担えるからといって)、上記でご紹介した複雑さが一掃されるわけではありません。
ですので、このようなプロジェクトを担当させていただく場合は、相当、心して取りかかかることになりますので、ご相談をお聞かせいただく時も、集中してお聞かせいただくのですが、まずは、いったん、お気軽にご相談ください。
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