直すことはできますか?
最終更新日:2024.04.25
お問い合わせフォームからのメール(自動返信メール)が届かなくなったのが、何かサイトに変更を行ったタイミングであれば、その変更が影響している可能性がありますが、何もしていないのに突然メールが届かなくなった場合は、2024年2月から適用された Gmail の「メール送信者のガイドライン」の影響の可能性が考えられます。
また、以前は問題なく送れていたお問い合わせフォームからのメールが、サーバ移転によって届かなくなる事例もあります。
ここでは、Gmail の「メール送信者のガイドライン」について解説するとともに、WordPress のお問い合わせフォームからのメールが問題なく届くようにする対応方法についてご説明します。
【解説】Gmailの「メール送信者のガイドライン」とは
個人用 Gmail アカウント(末尾が @gmail.com または @googlemail.com のアカウント)へメールを送信するために必要な要件を定義した、Gmail の「メール送信者のガイドライン」が2024年2月から適用されました。このガイドラインに反していると、メールがブロックされたり、迷惑メールに振り分けられる可能性が高くなるため、送信ドメイン認証のSPF・DKIM・DMARC に対応する企業が急激に増加しています。
ガイドラインに定められた要件は下記のようになっています。
個人用 Gmail アカウントに送信する送信者
以下のすべての要件に対応する必要があります。
- 送信ドメインに SPF または DKIM を設定する
- PTRレコードの設定をする
- TLS接続の設定をする
- 迷惑メール率を0.1%未満に保ち、0.3%を超えないようにする
- RFC5322に準拠したメール形式にする
- 配信元メールアドレスに「@gmail.com」を設定しない
- ARCヘッダーの設定をする
個人用 Gmail アカウントに 1 日あたり 5,000 件以上のメールを送信する送信者
上記に加えて、以下にも対応する必要があります。
- 送信ドメインに SPF および DKIM の両方を設定する
- 送信ドメインに DMARC を設定する
- ワンクリックで購読解除ができるようにする
参考:Gmailの「メール送信者のガイドライン」(外部サイト)
【解説】SPF・DKIM・DMARC とは
自社のメールアドレスになりすましてスパムメールを送られると、会社の信用が損なわれます。また、迷惑メール率が高くなれば、Gmail のガイドラインにあるように、個人用 Gmail 宛のメールがブロックされやすくなります。そうならないためにもメールアドレスのドメインに DMARC のレコードを設定し、送信メールは SPF・DKIM に対応させることが望ましいです。
SPF とは
承認されているIPアドレスからメールが送信されたかどうかを検証して、送信者のなりすましを検知できるようにする送信ドメイン認証技術です。
メールを送信しているメールサーバのIPアドレスと、From: に指定されたメールアドレスのドメインがDNSで紐づいていれば、認証をパスできます。
DKIM(ディーキム)とは
送信元サーバで秘密鍵を使用してメールに電子署名を行い、受信側では、送信元アドレスのドメインのDNSに登録された公開鍵を使って署名を検証することで、 メールの送信者や本文が改ざんされていないかを検知できる送信ドメイン認証技術です。
送信元のサーバが DKIM に対応している必要があります。
DMARC(ディーマーク)とは
なりすましを検知する技術である SPF・DKIM に対し、DMARC はなりすましメールを防ぐことができる送信ドメイン認証技術です。
SPF と DKIM の認証にパスしなかった場合に、受信者へ配信するかどうかを、送信元で指定することができます。具体的には、None(無し)、Quarantine(隔離)、Reject(拒否)のいずれかを設定します。
届かないメールはどこかでブロックされている
ここまでで解説した通り、Gmail 宛にメールを届けるためには、多くの要件に対応する必要があります。そのうちの何が問題でメールが届かないのかを切り分けるのは大変な作業となります。
さらに、Gmail のガイドラインに沿っていれば、問題なくメールが届くとは限りません。
例えば、1日あたりの送信数が少ない場合は、DKIM 認証にパスしなくても SPF 認証にパスすれば Gmail 宛にもメールが届くはずですが、DMARC ポリシーで隔離や拒否が設定されていたとしたら、Gmail 宛かどうかには関わらず DKIM 認証にもパスする必要がでてきます。
また、米Yahoo! も Gmail と同様のガイドラインを適用済みです。この流れに乗って、他のメールサービスでも同様の動きが出てくる可能性もあり、Gmail 以外でもメールが届かない問題が起きてくるかもしれません。
他にも、メールセキュリティのサービスを利用している場合、SPFとDKIMで認証エラーのメールに対してフィルタを設定していることもあり、Gmail に限った問題ではないこともあり得ます。
Gmail 宛への送信の有無や、1日あたりの送信数に関わらず、SPF と DKIM の両方に対応しておくと安心です。
お問い合わせフォームからのメールを SPF・DKIM に対応させる
何もしていないのに突然メールが届かなくなるケースでは、お問い合わせフォームから自動返信するメールを SPF と DKIM に対応させることで、メールが届くようになる可能性が高いです。
いくつか方法はあるので、3つご紹介します。既存のフォームを活かすのであれば、2つ目の SMTP サーバ経由で送信する方法の方が簡単で確実性も高いです。
方法1:サーバと DNS の設定を変更して、SPF・DKIM に対応させる
最初に、利用している Webサーバや DNS では DKIM に対応することが可能かどうかを確認してください。
サーバが DKIM に対応していれば、DNS に登録する DKIM のレコードを発行できるので、送信元に指定するメールアドレスのドメインの DNS に、レコードを追加します。SPF 認証がエラーになっている場合は、DNS に SPF のレコードも追加します。
DKIM に対応していない場合や、うまく設定できなかったり、設定が難しい場合は、SMTP サーバ経由で送信する方法を選択しましょう。
方法2:SMTP サーバ経由で送信する
送信元に指定するメールアドレスのメールサーバが SPF・DKIM に対応済みであれば、そのメールサーバ(SMTP サーバ)を経由させてメールを送信することで、SPF・DKIM の認証を通過できるようになります。
SMTP サーバを経由させて送信するには、SMTP サーバへアクセスするための ID・パスワードが必要です。XOAUTH2 に対応しているメールサーバの場合はアクセストークンで認証することも可能です 。「WP Mail SMTP」プラグインを利用することで、管理画面から SMTP の設定を行うことができます。
参考:WP Mail SMTP(外部サイト)
SMTP サーバでは送信数が制限されていることがあるので、スパム防止のために reCAPTCHA も併せて実装しておくと良いでしょう。
弊社では、設定代行も承っておりますので、ご希望の際は、ぜひお問い合わせください。
方法3:HubSpot のフォームを利用する
視点を変えて、既存のお問い合わせフォームに対する修正ではなく、HubSpot でフォームを作成してサイトに埋め込む方法も一つの手段です。HubSpot は SPF・DKIM に対応しています。
HubSpot のお問い合わせフォームでは、入力された氏名やメールアドレス等の情報を CRM で管理することも可能なので、インバウンドマーケティングに活用していくことができます。
弊社、株式会社フェアグラウンドは、HubSpot の正規ソリューションプロバイダーですので、導入をご検討の方は、ぜひご相談ください。
現在、メール送信トラブルが起きていて、原因の究明や改修を行い方は以下よりお問合せください。
WordPressサイトでより具体的に解説しますと、メールフォームのプラグイン「Contact Form 7」から自動返信が届かない、「MW WP Form」からの自動返信メールが届かないなどになります。自動返信メールとは、フォームの入力内容を指定したメールアドレス宛に自動で送信するものです。